M君を狙っている女性は二人いた。
一人は丸顔で童顔。
だが目にはしたたかさを感じる。
捕まったら死んでも離してくれそうにないタイプだ。
もう一人は顔立ちすっきりのおねー様。
なにかスポーツをやっていたのだろう。
機敏な行動が目についた。
こちらは、死んだらさっさと別の男に乗り換えるタイプだ。
1999年、私は某大手繊維メーカー。
その社内にある福利厚生施設、
○○○○クラブという居酒屋でバイトをしていた。
会社内にあるということもあり、
ここでのバイトは実に気持ちが良かった。
バイトで気持ちが良かったというのも変かもしれない。
気持ちいいと思った理由その1
まずもって、飲んで暴れる客がいない。
居酒屋と言っても会社内にあるのだ。
向かいの建物には総務課とかそういうのがある。
ここで一悶着あると、間違いなく人事課の耳に入るだろう。
もしかすると隣に人事課長が座っていた、なんて事も十分考えられる。
大人が節度を守ってお酒を飲んでいる姿は、見ていて気持ちがよかった。
理由その2
とにかく値段が安い。
生ビールが安い。
枝豆が安い。
あんかけ焼きそばが安い。
豚の角煮が安い。
湯豆腐が安い。
ニラ玉が安い。
私はここで3年働いたが、
常連客が1,000円以上払って帰るのをほとんど見たことがない。
(私もここで飲んで1,000円以上払って帰ったことがない)
常連客の注文の仕方はこうだ。
まず、ボトルキープの「いいちこ」をお湯割りまたは水割にする。
ここまで経費0円。
たとえボトルを卸したとしても「いいちこ」一本1,000円。
そう1,000円だ。
通常これはあり得ない。
半分詐欺だ。
「いいちこ」の他に、
あるお客は枝豆。
また、あるお客は湯豆腐を頼む。
ここで店員とおしゃべりしながらゆっくりと酒を飲む。
たまに店員も酒を飲む。
会社で研修を受けているという英会話の話であったり、
Vリーグの話であったりだ。
と言う風に実は結構暇だった。
そうこうしているうちに、小腹が減ってきたら、もう一品頼む。
それは焼きそばであったり、
あんかけ焼きそばであったりだ。
すまない、話を元へ戻そう。
私はその会社内の壮絶な三角関係について話したかったのだ。
登場人物をもう一度おさらいしておこう。
M君は京大卒。
見るからにおとなしそうなタイプだ。
たぶん指相撲をしたら勝てたと思う。
腕相撲ではどうか分からないが…。
そのM君を狙う童顔、丸顔のSさん。
さらにおねータイプのNさんだ。
またすまない、書きすぎてページが長くなってしまった。
このお三方の話はまたどこかでしようと思う。
一応、結論。
M君の運命はこの「響」によって決まったのだ。
どこかで続く…