なんでこんな人と一緒に飯食ってるんだろう。
そう感じていたのは、僕だけじゃなかったはずだ。
AeromxicoかMexicanaか、
これまた昔のことなので忘れたが、
その航空会社のシャチョーさんと、
一緒にメキシコで飯を食った。
メキシコの食事はとにかく長い。
通訳のモラリスは、大阪に留学していたというのが嘘のように「日本語、英語交じり文」で話しかけてくる。
たまに僕が話しても、明らかによく分かっていないような顔をする。
そんな時は、万国共通の「笑顔」で対応するしかない。
さらに僕以外のすべての人がスーツ姿で、
しかも僕の服装は、なんばで買ったR.newboldの青いT-シャツ。
せめて襟付きのシャツくらい着ろよーって思われそうだけど
そういう知識は、全くと言っていいほど持ち合わせてなかった。
学生時代、はじめてゴルフのキャディのバイトに行ったとき
ジーパンにTシャツを着ていくと
「それじゃあちょっと…」と言われたのを思い出した。
でもここはメキシコだ。
着替えにちょっと、と言うわけにはいかない。
そんな事もあって、
メキシコで食べる最後の昼食なのになかなか楽しめなかった。
あとはもう帰るだけになったとき、大事な事を忘れているのに気がついた。
テキーラを買っていなかったのだ。
すぐにモラリス君に近くの酒屋に案内するよう連絡をした。
二人で酒屋に着く。
日本の雑貨屋みたいなところだ。
奧から怪しげな親父が出てきたが、かまわず
「この店で一番高いテキーラがほしい」と日本語で言った後、
モラリスがスペイン語に訳して言った。
で、出してきたのがこれだ。
日本円で4,000円ぐらいだったろうか。
もちろんペソで払った。
あれ、ドルだったかな?(まあいいや。)
意外と安いなと思った。
テキーラはあえて不純物を残す。
乾燥した埃っぽい空気の中、からからに乾いた喉を潤すには、
それが一番心地よいのだという。
口の中に残るあのざらっとした感じがまたいい。
テキーラを本当に味わいたかったら、メキシコに行けと言うことだ。
メキシコの空気の中で飲むのには、かなわないと言うことだ。
ほんで、ほんまの梅酒がほしかったらここへ来いと言うわけだ。
ほんまの梅には、かなわないって言うわけだ。