農園の梅は、園主を中心に「一番最初から一番最後まで面倒を見る」という方針のもと作られています。

　種から厳選して育てると圧倒的に時間と手間がかかる梅栽培。私が携わり始めた１０年前はもちろん。農園では、代々厳選した種から梅を栽培してます。

　この梅をお客様の元に届けたいと思い、ＨＰを立ち上げてから間もなく１０年。はじめは青梅を中心にしておりましたが、今では減塩の梅干等も販売するようになりました。お陰様で今でも前年比の倍近く、ご注文をいただくようになっております。
　農園としては、きちんと栽培にも目を届かせながらやっていきたいと考えておりますので、規模拡大はせず、これからもよい紀州熊野梅だけを作ってお客様にお届けしたいと思っております。

　完熟南高梅の収穫時期に種を採取してから１０年。まず４年間は、畑に定植出来る２年生の南高梅するため、じっくりと作業場ちかくの苗床で育てます。

　さらにそこから６年間は、客土（きゃくど）や深耕（しんこう）土作り、剪定作業やヘアリーベッジによる草生栽培と毎年、丁寧に苗を大きく育てていきます。種の段階から面倒をみて、約１０年世話をし、このうす塩味熊野梅干が出来上がります。

　農園の一番人気である完熟南高梅を使って漬け込み。完熟南高梅は、完全に熟して非常に柔らかいため、傷が付かないようにいろいろな試みをしております。

　まずバークミンという木屑を畑に蒔き、さらに窒素成分の多いヘアリーベッジという豆科の草を蒔きます。仕上げはネット敷きです。これからはすべてクッションの役目をし、完熟南高梅が樹から熟して落ちた時に傷が付きにくいようにしてくれます。

　写真は園主が４０００Ｌの樽に、完熟南高梅を漬け込んでいるところ。この樽には粗塩を混ぜながら、約３ｔの完熟南高梅が入ります。大きい梅樽と思われるかもしれませんが、このように大きい方が、梅酢の上がりが早いため、鮮度の良い状態で梅が漬かります。漬け込み中にもどんどん梅酢が上がってくる状態なので、香りと鮮度いい柔らかい梅干しに仕上がります。

　漬け込みや天日干し作業が行われているこの場所は、周囲に民家が全くない、熊野の山の中です。

　車も走らないような山の奥なので、空気や水も澄んでいてまさに大自然の中で行われます。